竹の如く


竹林……。 整然と立ち並ぶその姿は繊細で美しく、風が通り抜ける時のざわめきは耳に心地よく響く。
竹林には風情を感じ、時として想像力をかき立ててくれる。

「万葉集」や「古事記」にも記述がある竹は日本人には古くから親しまれてきた植物。
生活、芸術、産業など古くから日本の文化に深く関わってきた竹だが、意外と不思議なところのある植物でもある。
学術上分類すると、竹はイネ科になるらしい。成長すれば20メートルを超える高さにまでになるが、そんな大木がイネ(稲)の仲間だとは思いにくい。
そして、特に僕が不思議に思うことは、種を蒔いてから最初の4年間、地表に小さな芽を出すだけで、まったく伸びないということ。
つまり、一見すると、成長していないように見えるわけだ。じゃ、その4年間は変化していないのかというと、そうではない。
実はその4年の間、土の中深くに根を張り続けているのだ。いわゆる、地下茎というやつ。

竹は前述したとおり、高木の植物。従って、高く成長するには、しっかりとした土台が必要ということを竹は知っているので、根をしっかりと張ることから始めるのである。
そして、4年という歳月をかけて、土台を築いた途端、一気にニョキニョキと幹を伸ばして行くのだ。ピーク時には1日で1メートルも高くなることがあるそうだ。

これって、人にも言えることではないだろうか。
人も成長するためには基礎になるものが必要。もちろん、才能の違いにより個人差はあるが、何もせずに行き成り、最初から結果を出す人はまず、いない。多かれ少なから、苦労や努力が必ずあって成長があるはず。
竹のように4年間、土台作りのために苦労して、努力すれば、必ず、成長して、結果が出るとは限らないが、目標を持って、焦らず、継続する、つまりしっかりとした土台を作れば、それは人生において頑丈な支えになる。それは、ちょっとやそっとのことでは倒れるものではないだろう。
人は諦めず頑張れば、竹の如く、高く伸びることができる。




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